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スプリング・ブレイカーズのyokoのレビュー・感想・評価

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)
5.0
アイコンとして消費されたブリトニーへの鎮魂歌は世界を撃ち抜く

あまりにも評価が低いのとジャケットがピチピチしているので陽キャ向けのジェシカアルバがでるようなお祭り映画と勘違いしている人も多いのでは?かくいう私もA24制作を知らなければ観なかった。

早い段階で1番真面目そうに見える黒髪セレーナゴメスが泣きをいれて無事帰るのだが、よくよく見返すと笑える(普通に帰れるのかおいw)。ジェイムスフランコ、無駄に紳士なオンリーゴッドのライアンゴズリングの去勢された男感もあるかもしれない。

土屋アンナとクリスティーナリッチを足したような金髪が2人いておそらく2人は意図的に髪型とメイクを寄せていると思う。ピンクに染めてるやつは黒髪同様逆に無理してる感、捨てキャラ感がある。だいたい4人組というとそれぞれ外見をもっとわかりやすく差別化すると思うが。身長は黒とピンクが少し高い。少し小さいのが金髪2人組。本当にそっくりだ。

2人が抜けるまではそこまでお互いを特別視している感はないのだが、2人になるとありふれたテンプレ金髪美女のニコイチ感がかなり強くなる。ジェイムスフランコ交えて3pしている場面もようは道具としてジェイムスフランコを使っているだけ、2人でセックスしているのだ。たしかに黒髪やピンクはもうこの場面だといらない。レズだからとはまた違う感じだが2人の関係性は何が1番近いだろうか。もしプロミシングヤングウーマン(ブリトニー、ヒルトンあたりを再評価するあたりも)の片割れが生きていたらこういうふうに見えたのかな。同じような金髪美女、いそうでいない組み合わせ。たいていチビノッポ、陽陰、悪真面目、というコンビに最終的になりそうなものだが。ありがちなプロットだと、黒髪、どちらかの金髪が生き残ってほうほうのていで最後金髪が自分を犠牲に黒髪を逃すと。そうは全然ならないのがこの映画の面白いところ。

中盤のあのシーンまではいわゆる、ゆるゆるガールがリゾート地で!!系かと思うのだが、そのシーン、以後は最初した予想と全然違うところに着地するのでそこまではパリピ映画と思わず見て欲しい。

覆面は正体隠しというよりも(だったら他にも色々することあるやろ水着とか!)匿名性、何者でもないワタシたちが金髪美女として消費されることを徹底的に拒んだ映画。と無理矢理結論づけようかな。

ジェイムスフランコ(エイリアン)は街に対して、ギャング界でのスタンス的な意味ではなく2人にとって余所者という意味だろう。

そもそも敵対ギャングの脅しの弱さ、2人の強さ。

何か物事には裏側があって悪の法則のように素人が痛いしっぺ返しを食らうというより、砂糖菓子の弾丸が撃ち抜いた、世界の裏と表をぶん混ぜて撃ち抜いた。

砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない 桜庭一樹
金髪2人の名前がキャンディとブリット(弾丸ではなくブリトニーのbritだが)なのでこの小説のタイトルを思い出した。

結構、美女が出てるだけの浅い映画と勘違いしている人も多いが(かといって深くもないがw)見誤っているのは、
その美女という記号、金髪を隠す覆面で世界を根拠もなく撃ち抜く爽快感を過小評価しているのだ。
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