スキピオ

スプリング・ブレイカーズのスキピオのレビュー・感想・評価

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)
4.0
"悪い予感しかしない"

Netflixで軽いのが観たくてコメディジャンルから選んだらすごいのを食らった、これコメディじゃねえ…。

スプリングブレイク(春休み)ハメ外し旅行の資金のために、強盗を働きフロリダに向かった女子大生四人組。フロリダの太陽の下、酒、ドラックにまみれた連日連夜の馬鹿騒ぎのはずが―。

4人中3人ブロンドなように(笑)登場人物はみんな頭悪いし、話の辻褄も合わないし、倫理的にもよろしくない。でも映像センスはぶっ飛んでいて、ちゃんと繊細な部分もあり。そんな今までに観たことない映画。夜が象徴的で無茶苦茶さもありながらセンスで押し切った「ナイトクローラー」とか「ドライヴ」「ロスト・リバー」あたりを思い浮かべた。褒めてます。

極彩色の水着と太陽の下の楽しい映像のはずが、冒頭で決定的な「悪事」をしている彼女たちは死亡フラグ立ちまくりで、観ている方は全然楽しくなくて緊張しっぱなし。かつ流れるBGMは不穏なEDMで、場面転換のたびに銃のトリガー音が入り、本当に「悪い予感しかしない」登り続けるジェットコースターのようで、このギャップがよかった。よくある「素人がマジモンの世界に立ち入って痛い目に遭う」そんなかわいい話ではない。さらにその上、あなたの娘さんももしかしたら…悪夢。

観終わったあとFilmarks平均点の低さを見て笑った。自分はすごい好き。もう一周、彼女たちの独白と多用されるキリスト教引用を中心にしっかり見直したい。