ナイトメアシンジ

ぼっちゃんのナイトメアシンジのレビュー・感想・評価

ぼっちゃん(2012年製作の映画)
3.3
今日、ご紹介するのは、日本映画「ぼっちゃん」です。

(注:夏目漱石「坊ちゃん」の映画化ではありません)

映画「ぼっちゃん」は2013年3月16日公開。

上映時間は130分。

 

映画「ぼっちゃん」は2008年に起きた「秋葉原通り魔事件」の犯人である加藤智大をモチーフにした架空の物語です。

 

”加藤智大の「秋葉原通り魔事件」までを描く前日譚”の映画です。

 
「秋葉原通り魔事件」とは?

2008年6月8日12時30分過ぎ、東京都千代田区外神田四丁目の神田明神通りと中央通りが交わる交差点で、元自動車工場派遣社員の加藤 智大(かとう ともひろ)が(犯行当時25歳)運転する2トントラック(いすゞ・エルフ)が西側の神田明神下交差点方面から東に向かい、中央通りとの交差点に設置されていた赤信号を無視して突入、青信号を横断中の歩行者5人をはねとばした。

このトラックは、交差点を過ぎて対向車線で信号待ちをしていたタクシーと接触して停車。周囲にいた人々は最初は交通事故だと思っていたが、トラックを運転していた加藤は車を降り、道路に倒れこむ被害者の救護にかけつけた通行人・警察官ら17人を、所持していたダガーナイフで立て続けに殺傷した

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から抜粋)


映画「ぼっちゃん」の監督・脚本は、大森立嗣。
 
映画「ぼっちゃん」の出演者は、主演の梶知之に入江悠監督作映画「SRサイタマノラッパー」(2009年~)シリーズの水澤紳吾。”

梶の”ともだち”になる田中さとし役に宇野祥平。そして、強烈な印象を残す梶の職場での同僚、”岡田と名乗る男”に「東京プレイボーイクラブ』(2012年奥田庸介監督)の渕上泰史。

ひょんなことから梶と田中と知り合い、田中と恋に落ちる岡田ゆり役は映画「浅草堂酔夢潭」(2010年荻野欣士郎監督)で、モナコ国際映画祭主演女優賞を受賞した田村愛。

【映画「ぼっちゃん」の評価】

なにしろ、梶の容姿は加藤智大そっくりでビックリします。

梶がおそらく密かに憧れを抱いていた女の子の卒業アルバムの個人写真を無理やり引き伸ばし過ぎて、目鼻立ちがボヤけた写真を大事そうに部屋の壁に貼るシーンがいい。
(男ってバカ)

時折、流れるジャズビートも効果的。
(演出として良し)
 

130分の大作ですが、途中、ダレることなく最後まで見せます。

この映画「ぼっちゃん」もまたナイトメア・リュウタ推しの一本ですが、彼は前記事の映画「殺人ワークショップ」と抱き合わせで筆者に薦めました。

故意か、はたまた偶数か?両方の映画に宇野祥平が出演しています。これがまた、素晴らしい❗いやはや、ぼーっと見ていると同じ役者が演じているのがわからないかも。それほど、異なる演技。ある意味、“なにをやっても、誰をやっても木村拓哉“とは対極の芝居。
(木村拓哉を否定するわけではない。あれもまた素晴らしい個性)

最近はバイ・プレイヤーが随分もてはやされていますが、
(松重豊、遠藤憲一、大倉孝二など)

宇野祥平も、もう少しフューチャーされてもいい。

自信がない→自分を卑下→でも、もしかしたら→チャンスに見境なく飛びつく→女子に引かれる→後悔という“モテない男の負のスパイラル”が面白可笑しく描かれています。

そして、ファーストシーンとリンクする衝撃のラストは必見。

秋葉原の事件に続き、先日、川崎でも痛ましい事件が起きたばかり。被害を受けた方の悲しみと怒りを思うと言葉になりません。

監督の大森立嗣は”人を愛したいそれだけです”加藤智大のネット上の書き込みをヒントに作ったという映画「ぼっちゃん」は青春映画のかたちをとったサスペンスでもあります。

実際の加藤智大が何を考え、何に絶望していたかはわかりません。

この映画「ぼっちゃん」は“叶わない夢もある”とをあらためて私たちに教えてくれます。“でも、地面に這いつくばってでも、前に進め“とも聞こえます。

人間讃歌の映画かもしれません。

悪くない作品です。
一度、御覧ください。


”今宵も悪夢は世界のどこかで誰かが見る”

 
(ナイトメア・シンジ)

 あらすじは👇

http://horror-prince.com/