せいじ

さよなら渓谷のせいじのレビュー・感想・評価

さよなら渓谷(2013年製作の映画)
3.5
小説は読んだがほとんど覚えていないので映画を観ることに。観ながらだんだん記憶が蘇ってきた。性犯罪の加害者と被害者の話。性犯罪の加害者は時とともに社会から許されるが、被害者は行き場を失い苦しみ続ける。ズブズブと深みにはまってゆく不幸のスパイラル… 加害者と被害者という憎悪と贖罪そして愛情が入り混じった奇異な共依存の二人。そして小説でも忘れられない心に残る言葉、「幸せになろうと思って一緒にいるわけじゃない」。しかし「…幸せになりそうだったんですよ」というラストのセリフ。だが観る者の期待を裏切るべくハッピーエンドを拒む。ほぼ笑顔のない悲しげな映画、真木さんのどこを見ているのか分からないうつろな瞳。とても切なかった…
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