菩薩

ちょっとフランス風の菩薩のレビュー・感想・評価

ちょっとフランス風(1949年製作の映画)
4.4
「恋は偉大な芸術を誕生させる為の最も有効な起爆剤の一つである」と18世紀フランスで活躍した詩人の誰それが言ってんじゃないかって気がするが、人格の8割方がハチクロで出来ているおっさんの俺としては、片思いの矢印が堂々巡りしていく後半の展開にひたすら奇声を上げながらの鑑賞となった。

完璧主義者故に主演女優を潰してしまい自らも解雇されてしまった映画監督が、カーニバルで見つけた器用かつ美しい女性をちょっとフランス人風の女優へと仕立て、後釜にどうかとプロデューサーに売り込み再起を図る。まんまとプロデューサーはこの女優にぞっこんとなるが、女優の方はと言えば恩もある監督にほの字、彼の為にとプロデューサーに気があるフリまで演じて監督に振り向いて貰おうとするのだが、エゴイスト過ぎる監督にはどうも思いが届きそうに無い…。なんて思っていたら、監督は監督で急接近し出した二人の関係を良く思わず嫉妬心を覗かせ、結局それが元で彼女が偽物の女優であると言うことが世間にバレてしまう事になる。ちなみに監督の姉はプロデューサーに惚れていて、尚のことややこしい感情の交錯が歯痒さを演出する。

ストーリー自体がそんな感じで猛烈に面白いが、映画内映画のミュージカルシーンも普通に見事で驚いてしまう。が、サーク自身はこの作品について「よく覚えていない…」と語っているらしい、どやさ。ここに来て堂々と吾輩は脚フェチである宣言まで飛び出す貫禄あるエッチぶり。開始2秒で太腿映画大賞ノミネートを果たす幕開けと言い、素敵やん過ぎてちょっとムカつく締め方と言い最高オブ最高。鏡の多用に最後まで姿を見せぬがスピーカーの向こう側に確かに存在している「JB」なる大物スポンサーも効いている、あのJBでは無いらしい。後どうでも良いがドン・アメチーはやはりセルヒオ・ラモスに似ている。
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