めずらしく原作本を読んでから映画を観た。もちろん原作本を手に取った理由はベルトルッチが映画化したと帯に書いてあったからなのだけれど。
まず、原作のログラインをベースに物語は、クライマックスを含め、かなり脚色している。その脚色というのがとても映画的で、観ていて勉強になった。
たとえば原作では、友達のグループにスキーに誘われたと嘘をつく、友達のいない少年の内面的な言葉が連なるのに対して、こちらは学校のスキーウィークと簡潔にまとめている。
映像の演出のためには、言葉を連ねるよりも、強い絵で分かりやすいワンカットが必要なのだ。
手持ちのカメラ、主人公のけだるそうな顔を含めて、この映画は、欠点要素までもがプラスの作用をはてらかせていると思った。とても、あのベルトルッチが撮ったとは思えない、新人映画監督のような青くて若い勢いが良い。