ユーキリス

ある会社員のユーキリスのレビュー・感想・評価

ある会社員(2012年製作の映画)
3.5
ありふれた日常の裏で暗躍する殺し屋達……なんてプロットこそありふれたものだけど、この映画はその辺りが一味違う。主要人物はそれこそお約束のように「殺し」について悩んだり議論を交わしたりするんだけど、結局その話ってのも「雇われ人」の悩みの延長線で出てくる話。
展開の核は「仕事辞めてぇ…」に尽きる。「殺しの仕事自分には向いてないみたいだし他にやりたい事出来たから会社辞めます」って感じで終始ラストまで突っ走ります(勿論、普通のサラリーマンではないので人を殺しちゃったり警察に疑われちゃったり危険な出会いをした女性とロマンスしたりするけど)。
こういう「殺し屋のバイオレンス!」を脇に置いて「サラリーマンの悲哀」を主軸に持ってきた話は面白いなぁ〜。

ただ観終わるとわかると思うんだけれど、ファンタジー映画っぽくまとまっちゃったのは残念。途中までは「もしかして実際にこういう会社やサラリーマンもいるかも」と思わせる作りになってるんだけど、どんどん有り得ない感が増していって「あ、これは現代のファンタジーや!」と落ち着いてしまう。
風刺や皮肉も行き過ぎるとあかんのやねぇ。

個人的に印象に残ったのはラストシーン。ネタバレになるので詳しくは言えないけれど、韓国も就活は日本と変わらんなぁ。向こうの方が戦争並みの競争らしいけど、最後に主人公が笑顔を見せた理由も何となく理解出来る。

【良かった点】
・一味違うサラリーマン映画
・「いるいる、こういうクソ上司」と共感出来るシーンが多い
・アクションシーンも肉弾戦が多く、また質も高い
・劇中に流れる歌が良い
・主人公強すぎ

【悪かった点】
・途中から突っ込みどころが多くなってくる
・主人公のキャラクター描写。肉付けが足りない
・主人公強すぎ