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セデック・バレ 第一部 太陽旗のイタリア語のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

日本人にとっては結構ショッキングな映画。特にラスト、霧社のセデックが抗日を掲げて一斉蜂起し、軍人だけでなく民間人、女、子供達までを殺していくシーンはかなりショッキング。首がどんどんと飛ぶシーンは強烈。当時の日本人にとっては、大規模なテロ行為なんだろうけど、もちろんそれは日本人側からの視点で、一概にはこの霧社事件を語れない。
日本は日清戦争に勝ち、帝国主義の伸長で、台湾を統治することになり、文明化の大義名分の元、豊かな美しい自然の中で、自然と共生し生きる現地人・セデック制圧した。それから数十年、霧社に近代的な街を築き、人々の生活を文明化した。この文明化自体、良い悪い二元的な価値基準から述べることが難しい。ただ現地の日本軍や移民した日本人の犯した罪の一つは、セデック達への差別、蔑視で、子供でも平気で殴ったり、威圧的な態度でセデックと接する姿は、同じ日本人として、過去の日本人の振る舞いに悲しみを覚えた。ただ働き同然で肉体労働をさせたり、中でも吉村や杉浦は、本当に小物で、最初に殺された時は、日本人からしても、少しいい気味だと思ってしまう。女や子供達にも、ある種当然の結果として、差別意識・蔑視の意識があって、「ここは日本のものだ」とか「劣っている」と思っているのは、悲しかった。それは、豊かな自然の中で暮らして来た彼らにとって、必須ではなかった技能や知識なのだ。かくいう日本人も、ペリーが黒船で来航するまでは、島の中に閉じこもって、数百年にわたって、独自の文明・生活を築いて来たというのに。
映像美として、台湾の山の中の豊かな美しい自然の映像は圧巻。霧社事件というのは、歴史の教科書にもあまり出てこないような事件で、日本人数百人が虐殺されたショッキングな事件だけに、「歴史」からは抹消されたんだろうけど、後世に生きる我々は知っておかないといけない。日本は帝国主義的伸長の中で、近代的な文明の啓蒙という大義名分を掲げ、アジア諸国に侵略し、現地人に日本人的なライフスタイルを同化した。それはもちろん文明化という近代的な観点から見れば、正当化できる善い行いなんだろうけど、一方で、それまでずっと脈々と、連綿と受け継がれて来た現地の文化、豊かな自然を破壊し、同化することで人々のアイデンティティの意識をも根底から損壊させた。同化した彼らにも徹底的に圧迫し、差別し続けた。ショッキングな映像もそうだけど、過去の日本人がして来た、教科書では習わない具体的な残虐非道な行為を目の当たりにし、ショックを覚える。
(セデックのラストの蜂起も、100%正当化される行為ではないし、セデックの総意でもないんだろうけど、(中には女だったり、蜂起に参加しなかった人たちは、それなりに満足してたのかもしれない))
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