theocats

南の島の大統領 沈みゆくモルディブのtheocatsのレビュー・感想・評価

3.8
海水面ぎりぎり島国国家モルディブ。
以前の独裁政権下では何度も逮捕拘留された末、民主的選挙で独裁大統領を破り当選した現大統領(映画撮影時点での)。
その大統領が国際的環境会議で地球温暖化防止・二酸化炭素排出量削減のために各国首脳と対等に渡り合い、彼の働きかけが功を奏して一定のの成果を挙げるまでを描くドキュメント。

率直にまことに興味深く非情に面白い作品でした。

まずモルディブ大統領が大国首脳にも全く臆することなくグイグイ主張する場面には、国家主席はこうあらねばならないと痛感する。
日本で自由に英語を駆使しあそこまで攻めた対話をできる首脳閣僚はまずいないだろうし、そのことに恥辱さえ感じてしまう。

海水面上昇によるモルディブの国土浸食を食い止める手立てとしての二酸化炭素排出量削減はフェイクという陰謀めいた説があり、工業が存在しない時代でも海水面上昇や下降はあったわけで、それこそ太陽活動の周期による説も存在するので、本作品を見ただけで素人が判断を下すのは拙速というものだろう。

しかし、それはさておき、映像における若きモルディブ大統領の奮闘っぷりは強く印象に刻み付けられました。
でも・・・前大統領残党によるクーデターで失脚したというエンドテロップを見て暗澹たる気持ちに。いやぁー物事は全てとんとん拍子というわけにはいかないんだなあとガックリ来ちゃいましたね。苦笑

気になった点として、アメリカ映画ゆえか中国やインドより影響力の大きいアメリカ代表とのやり取りがなかったのは大きな不満。
theocats

theocats