Ryan

スノータウンのRyanのレビュー・感想・評価

スノータウン(2011年製作の映画)
3.9
純度の高いサイコパス映画


ストーリー
オーストラリア南部のアデレード郊外。無職の母親や幼い弟たちと貧しい生活を送る16歳のジェイミー・ブラサキスは、ある日、隣人から性的虐待を受けてしまう。そんな中、母親の新しい彼氏ジョン・バンティングが家にやって来た。気さくで行動力のあるジョンに惹きつけられていくジェイミーだったが…。


主演 ルーカス・ピッタウェイ
監督 ジャスティン・カーゼル


オーストラリアの鬼才ジャスティンカーゼルが「オーストラリア史上最悪の殺人事件」"スノータウン・マーダーズ"を生々しく描く。

正直、度肝を抜かれる。
その残酷な殺人の手口、一家を丸め込む手腕、家族によそ者が入り込んでくる気持ち悪さ、どれをとっても素晴らしく生々しい。
さらにエンドロールに流れる結末をみて唖然。
「この内容が実際に起きた事件だと言うのか」と。
軽いショックを受けた。


きっといつ観ても気分は最悪。
さらに救いがない。
ただ、ラースフォントリアーと違ったのは監督自身に"殺人願望"があるとは思わなかった事。
ラースフォントリアーなら「自分ならどう殺すか?」または「こうやって殺したい」という明確な"意地"みたいなものが見えるのだが、今作はどちらかと言うと事件を生々しく描き「何がそうさせたのか?」また「なぜこうなったのか?」という答えより過程を大事にしている印象。
観客に寄り添わない映画は久しぶりで驚く。

小児性愛者、同性愛者、社会的弱者、口では国や民を思いベラベラ饒舌だが、「結局は人を殺したいだけのサイコパスたちの集まりだった。」と痛烈に批判しているジャスティン監督には一生ついていきたい。
個人的にジャスティンガーゼル監督とはかなり相性が良く、ほぼ全ての作品が好きである。(アサシンクリード以外)

時にはソシオパスを描き、時にはサイコパスを、はたまたオーストラリアの義賊を描いたりと"人間の業"に余念がないジャスティンガーゼルは最高である。
Ryan

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