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フロントミッション 革命の反逆者たちのBalthazarのレビュー・感想・評価

4.0
1930年代のスペイン内戦が舞台。だけれどアクションものの戦争映画とは一味違う。(どこからフロントミッションなんて似合わない邦題を持ってきたのかな?)

 ロンドンで記者として働くロバート・モーレスは、父モノロ(ウェス・ベントリー)が危篤に陥ったことで、過去に父がローマ・カトリック教会の組織「オプス・デイ」を創設したホセマリア・エスクリバー(チャーリー・コックス)と同じ街に生まれ、親友として同じ神学校で学んでいたことを知る。
エスクリバーは信仰の道を歩んだが、モノロは復讐に燃える兵士としての道を行く。
モノロは富裕層の子だったが、スペインに革命の旋風が巻き起る中で父の命、家の財産、名誉すべてを奪い取っていった共産主義と労働者階級に対して激しい憎しみを抱くように。
人民戦線の部隊にナショナリストのスパイとして潜り込んで内側からサボタージュ工作を行い、情報をリークし、崩壊させようと暗躍する。その過程で多くの鮮血に手を染めることになる……。


オプス・デイ (Opus Dei) は、キリスト教のローマ・カトリック教会の組織のひとつ。 カトリックの属人区(プレラトゥーラ・ペルソナーリス)。1928年に創設された。

ラテン語で「神の業」を意味するカトリックの世界的な組織で、世俗社会での自らの職業生活を通して、自己完成と聖性を追求することを目的にしている。

1947年にオプス・デイは、ローマ教皇の認可を受ける。教皇の認可を得て、オプス・デイはスペイン国外にも広がる。

創立者のエスクリバーは2002年にヴァチカンで列聖され、死後わずか30年での列聖が異例の早さとして話題となった。

ホセマリア・エスクリバーは、1902年スペインのバルバストロ(Barbastro)という街の敬虔なキリスト教の家庭に6人兄弟の2番目の子として生まれた。3人の姉妹が次々に病で亡くし、次は自分が神に召される番だと常に考えていたようだ。

16歳の時、一時は建築家になることも考えた彼は聖職者になる決意をする。司祭養成大学でもあるサラゴサ大学で神学を勉強した。

1927年、彼はマドリードに移り、難病支援のボランティア活動に勤しむ。そして、1928年神の啓示を受けたと言ってPraelatura Sanctae Crucis et Opus Dei(オプス・デイ)というカトリック教会の司牧を行う機関を設立した。

しかし、スペイン内戦の影響でオプス・デイも共和制政権(人民戦線政府)につくか、フランコ率いる反乱軍につくか態度を決めなければならず、フランコに接近することになる。

独裁者フランコとの関係は、ファシストの支持者だとして彼自身やオプス・デイの経歴に傷をつけるものとなったが、教会にとっては『ヨハネの黒鷲』を国章に復活させたフランコの方が、無神論の共産主義よりはましに見えたのだろう。

スペインの内戦が終結して以来、オプス・デイは法科大学や医科大学、バルセロナにはハーバード・ビジネス・スクールを模倣したマネージメント専門学校を置くなど次々に設立。

そうした活動を通じてオプス・デイは政府の中枢やスペイン経済に浸透していった。

そして、フランコの内閣は経済詰問委員会や計画審議委員会などを、一貫してオプス・デイの会員メンバーで固めたとされている。

オプス・デイのネットワークは出版会社、新聞、印刷会社、広告会社、ラジオ局、映画製作会社とメディア業界も掌握した。

スペイン社会における知識層のすみずみまで影響力をもつに至ったオプス・デイは、やがてフランコの支持母体であるファランヘ党を追い抜いてスペインで最も影響のある組織へと成長した。
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