タッチはコメディでありながら、
終始一貫して一つの事を伝えようとする
メッセージ性のとても強い映画だった。
手を変え品を変え、様々な具体で伝えられるそのメッセージは、
見る人を飽きさせない手法が凝らされていた。
ストーリー展開としては王道だが、
伝えようとしているメッセージの内容と相まって、
わざとらしさや嫌らしさを感じさせない秀逸な構成だった。
王道なストーリー展開は感動のカツアゲになる事が多いが、
この作品は違った。
まず
伊集院静さんの言葉を借りれば、
「人はそれぞれ事情をかかえ平然と生きている」
という前提がある。
そして、中心にあるメッセージは、
「自分の本当にやりたい事を諦めるな」だ。
多くの人は諦めてしまう。
だから、諦めずに勇気をもって一歩踏み出す方法を教えてくれる。
「うまーくいく、うまーくいく」
作中、大小さまざまな難題が主人公たちに降りかかる度、
こうつぶやく。一歩踏み出す為のマインドコントロール。
つまり、主人公で万能なランチョルでさえ挑戦は怖いのだ。
ランチョルだって怖いし不安で一歩踏み出す事に躊躇する。
だが、彼はその気持ちに負ける事はない。
「うまーくいく、うまーくいく」
そう何度か呟くと、強く一歩を踏み出し、立ち向かう。
踏み出す一歩が仲間にも力を与え、伝搬していく。
誰にだって事情がある。誰だって一歩を踏み出す事は怖い。
だからこそ、誰にだって、一歩を踏み出して人生を変える事が出来るのだ。
「きっとうまくいく」
見終わった時に、誰もがそう思う事が出来る最高のコメディ。