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きっと、うまくいくのさのネタバレレビュー・内容・結末

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ブラックなユーモアも交えたはちゃめちゃ学園コメディ中に、学歴社会の構図とか、まだ残ってるカースト制度とか、なりたいものになれない——父がすべて決める家父長制の家庭、詰め込み式の授業、さながら工場のような講習、インド社会の問題が垣間見える。だから、序盤はものすごくストレスフル。威圧的な学長や先生方にイライラ。そのぶん、困難を主人公たち3人が切り抜けていく様子がおかしくもあり、痛快でもある。おもわず拍手をしたいぐらい。
特に飛び降りた友人が意識を戻したとき、ピアの姉の出産がうまくいったときは感動した。息をつめて見守ってたから……! 
まさしく奇跡だった。

平行するのは、親友の行方を探す10年後。結局値札野郎と結婚しそうなピア、勝者は自分だと親友を嘲るサイレンサーにハラハラ。ああ、大学時代は「すべて、うまくい」ったけどやっぱ厳しいか……彼よ、一体どこ行ってなにしてるんだ!? まさか死んだりしてないよな!? って思ってたら爽快なエンド。すべて、うまくいってよかった〜。

あとミリ坊主が親友の元で働いてるのを見たときは、おおお! ってなった。



それにしてもなんでそんなにエンジニアにこだわるんや、と思ってあとであらすじ観て納得した。そうよな、インドってIT業が急成長してるからなあ。裏ではたくさん抑圧され、詰め込まれ、自分のやりたいこともできず死んでいった人たち、競争社会で犠牲になった人——ゴーカンされてる人たちがたくさんいるんだと思った。
現実もこんなふうに、奇跡が起きて、すべて、うまくいけばいいのになぁ。

伏線回収が見事で、演出も言葉選びもセンスがあって、3時間という大作だったけど全然観てて苦じゃなかった。あっという間に3時間が終わってしまった。インド映画ならではのダンスも、観ててとても楽しかった。
さ