百目

執行者の百目のネタバレレビュー・内容・結末

執行者(2009年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

観ると気分は非常に落ち込みますが、死刑制度の是非について考えるきっかけになる素晴らしい映画だと思います。
何十年と服役して充分すぎるほど反省し、理由のある殺人を毎日神に懺悔する殺人犯。10人以上を殺しても全く気に留めておらず、むしろ「はやく俺を死刑にしろよ」と望むような素振りをしている殺人犯に課せられた“執行される死刑”は本当に同じ重みでしょうか。

劇中内の台詞ですが、上述のストレス発散を目的とした殺人犯に対してベテランの刑務官が「殺人犯なんて元々産まれてこなければよかったんだ。あんなクズが産まれなければ苦しむ人々もいない」という愚痴をこぼしたあとに、後輩から「お互い若く養える自信が無いにも関わらず彼女を妊娠させた。堕ろさせたほうが2人にとって……」という相談を受けたときには
「大切な命だ、何を躊躇う必要がある?産んでもらうべきだ」と勇気づけるシーンがあります。この一連の矛盾する内容を真剣に話すシーンが心苦しく、しかし彼の心中にも理解を示してしまう自分もいることにどうしようもなさを覚えます。

もちろん囚人と刑務官が膝を突き合わせるほど仲良くなれるようなことは実際には起きないだろうと思われますが、誇張してくれたおかげでわかりやすかったと自分は感じました。
重たい内容ではありますが、一度観てよかったと思える映画でした。
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