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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命のYOUのレビュー・感想・評価

4.4
デレク・シアンフランスが監督と共同脚本を務めた、2012年公開のクライムドラマ。
『ブルーバレンタイン』に続きデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングがタッグを組んだ本作では、スタントライダーのルークと新米警官のエイヴリーの2人にまつわる罪と因果が三部構成で描かれます。『ブルーバレンタイン』を観た後だと、本作のオープニングからシアンフランス監督の才気煥発ぶりがビンビン伝わってきます。加えて今回のライアン・ゴズリングは『ドライヴ』級の華と色気に満ちており、自分はこの上品で艶かしいオープニングだけで既にノックアウトされました。この冒頭から始まる第一幕では、”父親としてのプライドと責任感が生んだ悲劇の連鎖”が描かれます。また第三者を巻き込む事で2人の関係が完全に崩壊するというあの何ともいたたまれない展開は『ブルーバレンタイン』での終盤のシーンも彷彿とさせます。そこから続く第二幕では、一幕目とはまた違った緊張感と嫌な息苦しさを纏ったダーティーな物語が展開されます。第二幕の主人公エイヴリーは”不本意な善により讃えられた男”であり、”追い求めた善により犯罪者となった男”であるルークとは完全に対称の存在とも言えます。そして前二幕で語られてきた物語が”宿命”めいて一点に集約される第三幕では、”The Place Beyond The Pines”というタイトルからも示される本作のテーマ性が明らかとなります。因果と宿命の下に生きる彼らが、それでも自身の生き方を必死で見出そうとする本作の顛末には奥深い感動があります。印象的な本作のエンディングは、画面構成や画的な演出、彼の行き先に至るまでがオープニングと明らかに対を成す作りとなっており、この重厚かつロングスパンな物語の締めくくりとしても非常に上品な幕引きだと思います。

まるで3本の映画を続けて観たかのような見応えですし、デレク・シアンフランスの手腕とセンスが遺憾なく発揮された一作です。キャストの演技や存在感も凄まじく、一層この物語に説得力や厚みをもたらしていると思います。『ブルーバレンタイン』に続き、これまたガツンと来る傑作!鑑賞後も作品の意図やテーマをじっくりと噛み締めたくなるような作品でした。

















































































































こんなにイケメンでセクシーな親子なんてどこ探してもいねぇよ。
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