にいにい

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命のにいにいのレビュー・感想・評価

4.0
血とは何か。業とは何か。因果とは何か。トラウマ映画の傑作『ブルーバレンタイン』を産み出したデレク・シアンフランス&ライアン・ゴズリングコンビは今作でも健在だった。

本作は主に3つのパートに分かれている。天才的なバイク乗りのルークが父性に目覚めるも転落していくパート、そのルークの人生を文字通り終わらせた正義感に燃える警官エイヴリーのパート、15年後の彼らの息子達のパート。情熱的で輝いていた過去と渇ききった現在とを交差させ描ききった『ブルーバレンタイン』とは異なり時系列通りに物語は進む。

今作で印象的なのは劇中何度か出てくる深く生い茂った松林。息子を養うため生計を立てようとしたルークが銀行強盗に手を染めるきっかけとなったロビンとの出会の場所。正義感から同僚を告発しようとしたエイヴリーが連れこまれた場所。本当の父親の真相を知ったジェイソンが銃を突きつけた場所。何れもこの世の"悪"が溢れたシーンであった。深く生い茂り鬱蒼とした松林。あの場所から、街から、因果から抜け出そうと藻掻いた彼等を嘲笑うかのように松林は広大で彼等を囲い込み捕らえていた。

父親と同じようにバイクに跨り、あの場所を抜け出したジェイソンの目には何が見えたか。プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ。抜け出せない因果のその向こうに見えた景色が光り輝かんことを。
にいにい

にいにい