享楽

恐怖と欲望の享楽のレビュー・感想・評価

恐怖と欲望(1953年製作の映画)
3.0
60分の戦争映画。今作で展開される劇性はかなり抽象度が高く、具体的な名詞が個人の名前以外は一切表れない。冒頭のエピローグで示されるように、そこは何処かの森で、主人公達4人の兵士は味方の陣地から10キロ離れた敵陣に入り彷徨い歩いている姿が主に映される。映像がモノクロなゆえに抽象度-曖昧性といったものが一段も高まり、それだから物語は歴史の数多の戦争の、そのどれにでも見て取れるものなのではないだろうか。普遍的な戦争における個人の恐怖と欲望を簡素に描写した作品。これは過去でもあり、未来でもあるかもしれない。
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