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武士の献立のゴーヨクのレビュー・感想・評価

武士の献立(2013年製作の映画)
5.0
《普遍的な夫婦のお話》

『武士の~』シリーズが流行った時に観て良い記憶があったので、久しぶりに観直したら、自分の現状とも相まって、大好きな作品になりました。

私は結婚してからなかなか子供が出来ないで4年位経ちます。
主人公のはる(上戸彩)も料理の腕を買われて、夫となるやすのぶ(高良健吾)を一人前の包丁侍とするべく、お嫁に来ます。
4つも年下のやすのぶは結婚も家を継ぐことも望んだ訳ではなく、兄の急死によってその状況にいるため、はるに素っ気ない態度を取ります。

語られはしませんが、多分初夜もなし。
夜の営みも怪しい…ということで、子供もなかなか出来ません。跡取りを産むことを仕事とされてきた時代ですから、はるは地味に悩みます。たまに話しやすい義理父に冗談ぽく言ってみたり…。

さらにやすのぶが昔好きだった女性まで出てきて、言いはしませんが、ヘコみます。料理が大好きなはるは夜中に料理で気晴らしです。たぶん私の場合はこれが映画になります。

慣れない環境ながらも、義理父との約束の包丁侍に夫をするべく、はるは勇気を出してやすのぶと料理を通じてコミュニケーションを取り始めます。そして…。

加賀藩で起こった騒動や加賀料理も描かれますが、その間に男女の間に起こりえる様々な悩みや喜びなどが一切の説明言葉なく、時には目線で、時には背中で語られます。 

最近3度ほど観直してますが、はっきり言って傑作です。私には粗がみつけられなかった。 
人生にはその時期その時期にぴったりと寄り添う映画があるんだと思いました。


余談ですが、高良健吾が何ひとつ自分の思い通りに行かず、恋も上手く行かず、顔は良いのに不器用で、妻とも上手くやれないけど、根っからのひねくれ者ではなく、志も持ってて男らしいって、なんて似合うんだ!サイコーなんだ!と思いました。

高良健吾くんは監督に愛される役者さんな気がする。特に沖田監督…
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