せいけ

ミークス・カットオフのせいけのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
5.0
目的地もはっきりせず、夜はほぼ周りが見えないほどに暗い。そんな過酷な環境の中、ひたすら疑念を抱きながら、移動を繰り返す極限まで映画純度を高めたような作品。案内人ミークの傲慢な態度にこちらとしても訝しんでしまうが、ただどうすることもできない状況で人を見ることの困難さが浮かび上がる。行き詰まったときの話し合いに女性を参加させない男性の振る舞いにも巧みな批評性を感じた。そして、何よりゆったり進みながら、時折驚くほどキレのよいショットが挿入される。ケリー・ライカートの緩やかなサスペンスには毎度驚かされる。ラストの幕引きも素晴らしい。