キモサベ

ミークス・カットオフのキモサベのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
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こりゃもう一発で西部劇だとわかる“ジャケツ”でやんす
ミシェル・ウィリアムズ(主演)&ケリー・ライカート(監督)の女性コンビ第2弾・・・です
今の世の中で、こういった書き方がいいのかと思いますが、女性監督さんが描く西部劇にはとても興味がございます

西へ西へと安住の地を求める移住者の時代・・・どうやらこの映画に登場するのはその移民団から外れて移動をする3家族のよう
さらに家族たちは、案内人ミークという人物(胡散臭いオッサン)を雇い目的地を目指していますが、話の内容から2週間で着くはずが、すでに5週間経っているようです
“家族”ですから、妻もいれば子供もいる、一人の女性などは“お腹”が出ているようにも見えます

では感想です
西部劇と書きましたが『“西へ”向かう人の劇』・・・と言ったほうが良いかもしれません、ひたすら“歩く”だけ
ですからそこには“ジョン・ウェイン”(失礼、ヒーローという意味です)は出てこないし、早撃ちやドンパチもなければ、インディアンやの奇襲も・・・インディアンは一人だけ出てきますけど
馬車だって、“牛”に引かせていますし
自分の想像はことごとく裏切られました

だからと言って興味をそがれることはありませんでした、むしろ引き込まれる作品でした

フロンティア精神、そんな次元のお話でなく、監督さんはもっと根源的な生きること、信じることを描きたかったのでは?と感じました
そりゃ、家族たちも出発したころは夢と希望に燃えていたと思います
ただ、目的地を目指す旅のはずが、どんどんハードルがさがって、今の彼らには明日の水・・・希望どころか、死を意識する旅へと変わってしまっているのです
ただ、生きるために歩いている・・・辛いなぁ
途中、大きな湖に到達したのですが、『アルカリ性の水だから飲めない』・・・のシーンはさすがにガクッときました(水を飲みに中座しちゃいましたよ)

それともう一つが信じるという姿が、これほど刺さる映画も珍しかったです
一向にたどり着かない案内人・・・ただ“信じる”ほか道はないのです
さらに途中から捕まえたインディアンを頼ることになるのですが、言葉も通じない、どこに行くかもわからない・・・それでも“信じる”しかないのです

ラストも唐突な終わり方で、この人たちがどうなったか?さっぱり触れられていません

一度観たら忘れない映画、です

【追伸】
比較されてみては? “ロードムービー”
同じ監督さんの「ウェンディ&ルーシー 」(2008年)が、“動けない”ロードムービー
一方、本作は“たどり着けない”ロードムービー

一口にロードムービーと言っても、行き方(“生き方”と言ってもよいかもしれません)はそれぞれ、です
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