雨のなかの男

ミークス・カットオフの雨のなかの男のレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
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U-NEXTで鑑賞。この全体的な画の美しさと不気味さの共存はモンテ・ヘルマンの『銃撃』を彷彿とさせる。広大で乾いた大地がただひたすらに「面」として映し出され、果てしない旅の絶望が観ている側にもありありと伝わってくる。「水」の残量が実質的なタイムリミットとして旅人たちをジリジリと追い詰めていく。水が旅人たちが歩みを止めさせないギミックとしているのはいかにもケリー・ライカートらしい。『ウェンディ&ルーシー』では主人公が見知らぬ土地で生計を立てられないが故に、街を出て歩みを止めない(止められない)仕組みになっていた。果たして辿り着けるか、目的地は存在するのかどうか…という漠とした不安感は『オールド・ジョイ』にも通ずる部分がある。見知らぬ土地で疑わしき案内人を信じるか、恐怖の現地民を信じるか、という葛藤は大自然を前に従来的な価値観が無力であるが故に生まれるのだろう。良い西部劇だった。
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