朝田

ミークス・カットオフの朝田のレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
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素晴らしい。ライカート、今の所ハズレなし。オールドスクールな西部劇の価値観を全て反転させた野心的な作品。分かりやすくお涙頂戴な話にも出来そうな所をあえて希望とも不安とも解釈できそうな宙ぶらりんに見せる演出も誠実。ライカート作品の中でも、とりわけ演出はストイック。カメラはほとんど動かないし、台詞も極端に削がれている。そこに不穏なスコアが相まって、ただ移動しているだけのシーンにも張り詰めた空気が流れている。民族を演じる人の、信用していいのか、いけないのか判らない表情が更にスリルを加速させる。基本的に俯瞰のショットが多用されるが民族の命をめぐって銃を構え合うシーンは表情の切り返しでサスペンスを生んでいて新鮮。こんな王道な演出も出来る人なのかと底知れなさを感じた。
朝田

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