ひげしゃちょー

私の男のひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

私の男(2013年製作の映画)
3.9
言葉で説明しないで映像で説明するという手法は映画の特権だと思うのでそこはよくできているが、説明してほしい部分もあったのは確か。 淳悟がラスト近辺で「俺は親父になりたいんだよ。」とつぶやくシーンがあったかと思えば花が男を連れてくるたびに「お前には無理だよ。」ともつぶやく淳悟の心情がよくわからない。その苦悩がわかる人はそれはそれで問題があると思うが。 その点、花は淳悟を愛していて全身で受け止めているというのはよく表現されていると思う。 何と言ってもこの映画の見所は血塗れのセックスシーンでしょう。 あの時点ではあくまでも形式上の親子であって、実の親子だと言うことは明らかにしてはなかったものの世間的には近親相姦と同じなので、その背徳感だったり血が繋がっているということを表現したと思うのだが、美しくて魅入ってしまった。 その反面、東京に出てきたあとに真相に気付いたモロ師岡を淳悟が刺し殺したときの流血は美しくもなんともない。その対比がよかった。 それと流氷シーンが印象的。あれを撮れたのは奇跡に近いんではないだろうか。『そこのみにて光り輝く』同様に近藤龍人のカメラワークが光っている。 この映画の二階堂ふみは間違いなく『夏の終り』の満島ひかりを超えていると思う。