YusukeTaruya

エリジウムのYusukeTaruyaのレビュー・感想・評価

エリジウム(2013年製作の映画)
2.4
多くの人はこの映画に対して「完成度が低い」と一蹴するだろう。

マックスには表情というか個性がない。ジェイソン・ボーンなら放射線を浴びてももっと魅力のある立ち振る舞いをしただろう。マットデイモンはこのキャラを演じ切ることが出来なかったのでは…。

ジョディフォースター演じるジェシカはいつの間にか陰謀を企てて、そしていつの間にかクルーガーによって退場させられている。

地球に滞在しエリジウムへ舞い戻らんとするクルーガーは、粗野で残忍だが、強烈な印象の残る悪役ではない。



そんな映画を誰が撮ったのか?
ニール・フロムガンプという監督に注目することで、『エリジウム』は非常に楽しく鑑賞する事ができる。
彼の代表作品を見ると、

第9地区が30億ドル。
エリジウムの製作費は110億ドル。
チャッピーが49億ドル。

無名だった彼は、第9地区に於ける「本来人類を脅かすはずのエイリアンが隔離・差別され」「主人公演じるシャールト・コプリーは全編を通してアドリブ」という異色まみれな内容に注目が集まり一躍脚光を浴びた。

エリジウムでは3倍以上の製作費が投入されながらRotten Tomatoの支持率は第9地区の90%から68%へと急落。
宇宙で暮らす人と地球に残された人という壮大な世界観をうまく描き切れなかったという見方が一番公平だと思う。

このエリジウムで投入された110億円は彼の監督しての"経験"への投資であり、その真価は彼のこれからの作品に表れるのだと思う。独特な編集を活かした作品が観られると思うと期待は高まるばかり。

エリジウムの次の作品『チャッピー』は決して興行的に成功した作品ではないけれども、より綿密で隙がなく描かれた作品であった。

そんなニール・フロムガンプの次作はtwitter(@NeillBlomkamp)によると"Alien Movie"と称され、2017年に公開とのこと。
SF映画ではぶっちぎりで一番注目したい監督!
YusukeTaruya

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