カラン

蝿の王のカランのレビュー・感想・評価

蝿の王(1963年製作の映画)
4.5
モノクロ。同じくモノクロで、デュラスの『モデラートカンタービレ』にジャンヌ・モローとJPベルモンドをフィーチャーした、『雨のしのび逢い』が、なんだか世間では評価されているらしいモローの叫びを除いてだが、あまりにも素晴らしかったので、ピーター・ブルックの映画監督としての実力はいかほどのものなのか知りたくて、観てみた。

この2本は傑作だと思う。『雨のしのび逢い』との比較はできないが、すごくよかった。評価を少しマイナスしてるのは、自分の側の問題かもしれない。ただ、そびえ立つ大人を写したラストはあまり良いとは思わなかった。

無人島の浜辺で夜空に火花が舞う。画面には無人島であるとか、浜辺であるとか、事実を語るものは不在であるが、とにかく夜闇なのかモノクロームなのか、小さなフレームの中に、火花が散る。無軌道でその火花は、形も意味もなさない、純粋な輝きとなる。ストリーを補填するわけでも、破壊するわけでもない。唐突な輝き。美しいと思う。
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