ダイセロス森本

デタッチメント 優しい無関心のダイセロス森本のレビュー・感想・評価

4.7
荒んだ学校に現れたひとりの臨時講師。生徒に怒鳴ることも、何かを強要することもないが、生徒の脅しにも一切動じず言葉で子供を押さえつける力がある人物。
ソファベッドがひとつ、小さなテーブルがひとつ。不必要なものはひとつもない部屋に住んでいるブロディ。
学校と家、祖父が入所している介護施設の3つを回るだけの生活。ある日売春をしている少女と出会う。まだ15,6だろう彼女は、家もなく、毎日男に体を売り生きていた。彼もまた、少女に誘われるのだが、そんな気はないブロディ。なんと家に連れ帰り、食べ物を与え、寝床を用意する。
新しく持つことになったクラスも落ち着き、同僚の女性とも良い関係になってきた矢先、生徒にまで恋されてしまう。

心は空っぽで、いつも悲しそうな顔をしているブロディ。いつも誰かを助けていたが、一番助けたかったのは彼自身なのかもしれない。
何もなくて、愛もなくて、塞ぎこむことしか知らずに生きてきた、ひとりのからっぽな男。複雑に絡み合ったものが心にある人たちを目の前に、彼は何を想っていたんだろう…。絡み合うものも、受け入れるものもない彼は、彼らをどう思っていたのかな。

思春期の複雑な心を持った子供たちに、希望を与えたわけではない。人は簡単に人生を正せるわけではないと教えただけなのか。

まだ見ていないけれど、『ハーフネルソン』(ゴズリング主演)のような雰囲気が漂っているので、もしかすると似ている作品なのかもしれない。朝は教師の顔、正しく子供たちを導く大人。夜は空っぽで何も持つことができない、ひとりの苦しむ大人。

人は誰でも何かを抱えて生きている…。教師までもがダメになってしまう学校って…どれだけ酷いのでしょう。

最後はよかったね、だけれども、その直前までが重く苦しいので何とも言えない…やっと救われた…?救われたのか…?という終わり。
まわりの女性が全員面倒くさいのは、こういう性格で顔の良い人の宿命みたいなものなのか。あの生徒含め、私は全ての女に理解ができない。

とりあえず思春期って面倒臭い…