Toranosaurus

ローマの教室で 我らの佳き日々のToranosaurusのレビュー・感想・評価

4.0
ヨーロッパの教育現場を描いた作品は、どれもこれも、同じような作りではあるのに、きちんと心に爪痕を残してくれるから不思議だ。本作も、日本ならば教育困難校に指定されるような難しい学校において、教師たちはどうふるまうのか。
最低限のことだけやらせればいいのか。学問の意欲がないものに対して、文学や美術史を教えることはどのような意味があるのか。本作は必ずしもわかりやすい解決策や、絵にかいたようなカタルシスがある描き方ではないが、教育は無意味ではないというメッセージを発信している。
最後に就業のチャイムが鳴って、教室から誰もいなくなる。これは「パリ20区、僕たちのクラス」などでも観た演出なのだが、学校や教室は、生徒がいなくなることによって、はじめてその意味が見える、ということなのだろうか。生徒が「解放」されることは、まったく別の何かがはじまることなのだろうな、という予感を残して本作は終わる。
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