TaroYamada

ローマの教室で 我らの佳き日々のTaroYamadaのレビュー・感想・評価

2.0
どんな映画だった?と問われれば、ある種、ドキュメンタリーに近い作品だった様に思う

先入観で、イタリア版の金八先生か、山田洋次「学校」の様なものを想像し、主要登場人物が手を取り合って、何か立て直すとか、救うとか、教育とは何ぞや?みたいなものかと思っていたが全く違った、そういう類の作品では無かった

ストーリーと言うか、ドラマ性が全く無いのだ
いや、本作は正確に言うならドラマ性が無い訳ではない、3人の教師それぞれのストーリーが絡まる事無く進行していく、それも事実を事実として淡々と描いている

生徒はまともに授業を受けないと投げやりな美術史の老先生と、枠を超えて何とか生徒を立ち直らせようとする熱血漢の国語の先生が対になる様に描かれており、老先生もまた若い頃は真摯に取り組む教師だった様で、それが時間を経て老境の現在に至った様に見える

経営再建に躍起な女校長先生が問題児の世話を焼く内に優しくなる、人間っぽく、教師らしく見えていく様は立場は変われど、本分を忘れる事は無いのだろうと感じた

老先生のシークエンスで過去の授業内容が忘れられない、先生は自分にとって大切な存在だと告げる女性が登場する
教育とは後の世で、何十年も暮らした時に残った残滓の様なものなのかも知れない
ここに本作の本質、テーマが見えた様な気がした