No.3041 (※No.3040は『セーラー服と機関銃』参照のこと)
今年4月に実父が亡くなった。
とある難病を発症して以降、数年間は寝たきりで、亡くなる間際は、かなり認知機能が低下していた。
「スマホが壊れて電源が入らないから直してくれ」と言われ、見てみると、
単純に充電されていなかっただけ、ということが繰り返された。
最初のうちは私も「しっかりしてくれ! 充電できてるかどうか確認してから言ってくれ!」
などと、多少きつく言ってしまっていたものだが、
段々と弱っていく父を見ているうちに、
その「親の老いと死」を本格的に受け入れる準備をしなければいけないな、
と、心が定まり、
以降、どんな無理難題が父から寄せられても、私は可能な限り答えてあげることにした。
そして、父は安らかに逝った。
この映画を見て、ふと、そんな「老い、認知症との向き合い方」について思った。
コロナを「ただの風邪、騒ぎすぎ」とのたまっている一部の人には、
我が家のように、病気で寝たきりの父が、万一コロナにかかった場合を考え、日々、覚悟し、神経をすり減らしている庶民の気持ちなど、かけらも分からないのだろう。
分からないなら、分からないでいい。
せめて思うだけにして、黙っててくれ。口にしないでくれ。
不特定多数の目に触れるようなSNSなり動画なりで発信しないでくれ。本当に迷惑なのだ。
昨今の有名人、政治家たちのそういう「失言騒動(本人たちは失言だと思っていないが)」を見聞きするたびに、
自分の発した言葉が、相手にどう受け取られるかを考え、言うべきか、言わざるべきかを「おもんぱかる」という、
最低限の礼儀というか、モラルが、本当に劣化していると感じる。