Nozy

オンリー・ゴッドのNozyのネタバレレビュー・内容・結末

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』を観てから本作を観たのでレフン監督が作家主義を掲げて制作しているのはわかっていたし、アレハンドロ・ホドロフスキーに捧げられていると聞いたので覚悟して見た

セリフがない映画でも気にせず観られる人には勧められる。つまり、この映画が好きな人が理解している訳ではないということ。

説明が省かれすぎてるので実際はわかならないが、整理すると多分こんな感じ

表向きはタイでムエタイジムを営む兄弟は裏で麻薬密売を行なっていた。兄の方が売春した10代女性を殺害してしまい、元警官チャンの指示により報復されて殺害される。兄を溺愛する母が飛んできて弟の方にチャンを殺すように指示する。弟は初めて母に頼られたことへの嬉しさに(おそらく頼られていないと理解していながら)何とか役目を果たそうとするが、チャンに返り討ちに。そして弟に罪をなすりつけようとした黒幕の母の方はチャンに殺害され、弟はどこかの森でチャンに腕を切られる。で、チャンがカラオケして終幕。

チャンに腕を切られるシーンは何度か出てるから断罪という意味があるのはわかる。弟の方は初めから腕を切られる妄想に取り込まれていたのでおそらく過去に罪を犯している。
過去を整理すると、兄の方を溺愛する母の反動で兄はロリコンになり、見向きもされない弟の方は妄想癖をかかえてしまう(LSDがどうこうとか監督が言ってた気がする)って感じかな。

神を体現しているのはタイの何者なのかよくわからない「復讐の天使」こと元警官チャン。搾取する西洋とそれを裁く東洋という抽象的な図式は見えなくはないが、それよりもカラオケが気になる。地味にうまいし。

本作を撮影していくたびに監督はdriveほどは売れないだろうし、撮るべきかわからないと言っていたが、ホドロフスキーのタロットによってなんとか方向性を確立したらしい。
ホドロフスキーは自身が考案したカモワン・タレットを使用しているが、彼がタロットを専ら「自己認識の道具」としていることは本作を観るにあたって重要だと思う。監督がそれを踏まえてこの作品をどう作ったのかは気になるところ
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