この映画のMVPは小柳ルミ子でも仙道敦子でも夏八木勲でもない。
デビュー直後の杉本哲太その人である。
福山雅治やロバート秋山等、この映画を思春期の性的トラウマに挙げる芸能人は多い。
この映画に登場する男達はことごとく小柳ルミ子に魅了され、破滅していく。
それも、和尚、坊主、刑事と、本来禁欲的な職業であるはずの人間ばかりだ。
全員が小柳ルミ子を犯す事だけを考え、命を燃やしているのだ。
毎晩小柳ルミ子の股間を責める若山富三郎のエロ坊主ぶりはさすが。
まるで『極悪坊主シリーズ』の主人公のその後を見ているようだ。
当時14歳の仙道敦子を犯そうとするシーンの鬼気迫る演技は、仕事以上の何かを感じる。
陰湿かつ獣的に小柳ルミ子を追い詰める夏八木勲の男臭さは相変わらず。
だが、男性陣の中で最も常軌を逸していたのは、童貞坊主の杉本哲太だ。
『白蛇抄』本編における杉本哲太の所業
・小柳ルミ子と若山富三郎の濡れ場を毎晩のように覗く
・小柳ルミ子の下着の臭いを嗅いだだけで射精、しかも真水の様にさらさら
・小柳ルミ子を襲おうとする夏八木勲を殴り、夏八木勲の濡れ場を見たかった勲ファンの楽しみを奪う
・あまつさえ、その時の夏八木勲のリアクションが面白いとモノマネする
・なし崩し的に小柳ルミ子で童貞喪失
・子供を亡くし、傷心の小柳ルミ子に対し「俺が子供になったる!」と乳首を吸おうとする
・お遍路の最中なのに小柳ルミ子に電話をかけ、それを咎められると「もう嫌や!」と逆切れ
・勃起させたペニスで障子を一枚づつ破る
・あんなに可愛い仙道敦子を振る
・別れ話を切り出されただけで逆上し、小柳ルミ子を殺し自分も死ぬ。しかも自分が死ぬシーンをカットされる
とまあ、全編に渡って暴走を続け、時にはエロを、時には悲劇を巻き起こしまくる杉本哲太。
この性欲坊主の小柳ルミ子への熱視線がそのまま映画になっているようなもんだ。
この映画がエロいのは、実は杉本哲太のおかげなのかもしれない。