にいにい

ウォールフラワーのにいにいのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
4.5
その時間が充実していたか辛かったか特に何もなかったかに関係なくもう戻ることの出来ないあの時間。若さからくる無限感と無力感、高校時代という所謂青春時代を描いた傑作だと思う。

主人公のチャーリーはスクールカーストの底辺に位置する友達のいないぼっち。直接的な描写はないものの、親友や伯母さんのことで心を病んでしまった過去がある。そんな友達が欲しいけど一歩が踏み出せないでいた彼が出会うのははみ出し者っぽいけど最高にイケメン&美女な兄妹。彼らが周りとは違う振付でダンスを躍るのを見つめるシーン、ここで一歩を踏み出せば…と彼が葛藤する姿に若き日の自分を見た。どうしてもこういう映画は過去の自分がどんな学生時代を過ごしたかで評価が分かれて来る気がする。

この映画は正直上手く行きすぎな面も多々ある。結果的にチャーリーは美男美女揃いの先輩達と仲良くなり作家としての才能もあり、師事する教師に出会い家族からも愛されている。結局リア充じゃねえかよ!!!と思う所が無い訳じゃないけど、もう戻れないあの頃を彼が代わりに最高に楽しんでくれた所に良かったなと思えた。

チャーリーを演じたローガン・ラーマンは初見だったけどおどおどした新入生を見事に演じていた。そして言うまでもなくエズラー・ミラーは最高だった。『少年は残酷な弓を射る』もぶっ飛んでいて素晴らしかったけど、こういう役も見事にこなすんだな。何かに目覚めそうなくらい、セクシーで仲間達を見つめる笑顔が優しくて魅力的。エマ・ワトソンも『ハリーポッター』シリーズからの脱却を見事に果たしたと思う。

プロムやらパーティやらドラッグやらの映画を見る度にアメリカ人じゃなくて良かった…と思う訳でそういう面では日本の高校時代とは重ならない部分も多いんだけど、それでもあの年代ならではの無限感、閉塞感、無力感は国を超える。ボウイのHEROSがかかったトンネルのシーンが最高でこのシーンだけでも今後何回も観返すだろう。大好きな映画になりました。
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