椎良

静かなる叫びの椎良のレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.0
〈理工科大学にて、男子生徒が銃を片手に構内へ侵入。彼は女性だけを執拗に狙い、殺害していった。
この事件に遭遇した若者達の心は捻じ曲げられてしまう。〉

「DUNE」「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督初期作。
孤独は煮詰まり 破滅的思考へと至る。事が起こり露呈される、人間のどうしようも無い生きづらさ。

恐怖を煽ると言うよりは、銃撃に対する人の無力感が強調されている。モノクロであるが故に掻き立てられる残酷な想像、悲惨な犯行の中に見えた特徴的なカメラワーク。
事件前後のみが主軸に置かれており 監督の他作品レベルを期待すると少し物足りないが、少ない描写で深く考えさせられる点で彼の作家性が最も濃い映画のように思える。

あるべき姿というものに縛られ、迫害されて生きるのはどんなに苦しいことか。
ひとつひとつの愛だけで、生きる悲しみ・苦しみの満ちた社会から変わっていけるのか。
椎良

椎良