小僧

静かなる叫びの小僧のレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
3.5
実際に起きたモントリオール理工科大学虐殺事件を基に、架空の登場人物で描かれた社会派作品です。
女生徒を次々とライフルで射殺する…凄惨な事件を扱っているのですがスプラッターのような過激さはなく、むしろ抑えられた台詞と余分な説明が一切排除されているので、全編に渡り静寂な空気に包まれた映画です。

過剰な演出が抑えられているからと言って淡々としたドキュメンタリー調にはなっておらず、全編モノクロで撮影された硬質で美しい映像と、77分と極限まで削ぎ落とされた無駄のない構成で映画として完成度が非常に高いと思います。

加えて犯人役や犠牲となる生徒を演じる役者の演技(表情・動き・眼つき)が胸に迫るほど素晴らしいです。
なぜこのような凄惨な事件を起こしたのか、犯人の動機を無駄に掘り下げず、非常に身勝手で空虚な感情が静謐な映像と相まって恐ろしいリアリティが表出しています。

このころからヴィルヌーヴはすごいんだな…と驚きました。胸にガツンと残る作品としては続く「灼熱の魂」で極まりますがこちらも素晴らしい作品です。
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