Tomo

赤い航路のTomoのレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
3.5
憎しみに満ち溢れながらも離れられない狂気の愛は、どちらか一方が死ぬことはあり得ないことで、心中することで美しくてロマンチックでエロチックなものになるとポランスキー監督がドヤ顔で言っているよう。

イスタンブールに向かう豪華客船に乗船する2組のカップル。1組は結婚7年目で倦怠期にあるナイジェルとフィオナ。もう1組は、魔性の魅力をもつミミと足が不自由で車椅子のオスカー。

ナイジェルはミミに魅了される一方、オスカーからミミとの間におきた愛と憎悪にまみれた性生活を聞かされ、4人の間に倒錯した愛欲と憎悪が渦巻いていく、そんなストーリー。

設定はちょっとズルいかなーと。このストーリー、オスカーとミミの狂気の愛の終焉がオチになるんだろうけど、そこに華を添えようと、ミミが本当に愛する相手は......だと、どんでん返しのような展開にしている。これぞ狂気だ!と言わんばかりで、それを愛だと銘打つ流れは、ちょっとあれれ、と思ったりもした(^^;)

けど、オスカーから語られるミミとの愛憎劇は、とんでもない内容です。常軌を逸していて、それでも離れられない2人の関係は愛憎塗渦巻く狂気といっていいでしょう。

しかし、この映画の最大の立役者は、ラブコメの帝王でハンサムにやけ男のヒューグラントですねw

とにかくダメ男っぷりが素晴らしい!
いとも簡単にミミの魅力に鼻の下を伸ばす。また、オスカーからミミのとんでもない話をきいても、ますます彼女に夢中になり、奥さんのフィオナは蔑ろにする。
そして、結局ミミが選んだ相手は.....。

可哀想になる位、間男ぶりを発揮してた。

とかく、オスカー、ミミ、ナイジェル、フィオナの心情を読みながら、倒錯した世界を味わえる作品でした。

....................客室の丸窓は満月のようだ。
Tomo

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