かたゆき

ウォーム・ボディーズのかたゆきのレビュー・感想・評価

ウォーム・ボディーズ(2013年製作の映画)
3.0
俺、いったいどうしちゃったんだ?
顔色も悪いし、身体も調子よくないし、姿勢だって猫背になっちゃってるし。
それに、俺はもっと人と繋がりたいのに、どうしてまともに接せられないんだろう?
あ、そっか、俺って死んだんだ……。
ここに居る連中も皆死んでるんだ。あいつもそいつも皆よれよれ。
そう、もう気付いていると思うけど、俺ゾンビなんだ。
自己紹介したいところだけど、名前も思い出せないんだよ。
Rから始まった気がするけど、もう忘れた――。
謎の病原菌の蔓延により、人類の大半がゾンビと化した近未来。
人間が主な主食のゾンビたちは、巨大な壁の中に閉じこもって自衛している人間たちが物資調達のためにたまに外に出てくることを涎を垂らしながら待っている。
ゾンビと化して間もない青年“R”も、腹が減ったらそんな自衛コロニーまでとろとろ歩き〝食事〟にありつくのだった。
ところがその日、いつものように人間たちを襲おうと仲間のゾンビたちと一緒に部屋へと雪崩れ込んだRだったが、そこで彼はその人と出会ってしまったのだった。
そう、動かなくなって久しい彼の心臓がもう一度ドクンと脈打つほどの最高に可愛い女の子、ジュリーに――。
ゾンビと化した青年ととってもキュートな人間の女の子のそんな禁断の愛をコミカルに描くヘンテコ・ラブストーリー。

いやー、まさにアイデア一発勝負な映画でしたな~、これ。
ゾンビ男と人間女の恋愛と聞いて、もっとキワモノ系の悪ノリ映画だと思って観始めたのですが、中身は意外にも『ロミオとジュリエット』的プラトニックラブストーリーでありました。
最初こそ、主人公が人間の脳ミソ喰うシーンがあるものの、それ以降は「こいつ、ホントにゾンビなんかい!!」と突っ込みたくなるほどフツ~の青春ラブコメなんで、誰でも安心して観ていられると思います。
って、これって主人公がゾンビという特異な設定を取り除いたら、後には大して面白くない青春ラブコメしか残らないんじゃ?という疑問が最後まで拭いきれないんですけどね(笑)。

個人的には、もっと挑戦的なネタ――たとえばゾンビが人間の女の子と思わずHしてみたら、思わずテンション上がって彼女の肉を文字通り食べちゃった!!みたいな(笑)――が欲しかったけど、それは好みの問題。
主人公の恋が世界を救うという脚本もそこそこ練られていたし、ゾンビと骸骨と人間の三つ巴の戦いが繰り広げられるクライマックスもけっこう盛り上がったし、ベタではあるけれどぼちぼち面白かったんじゃないでしょうか。
かたゆき

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