つくし

言の葉の庭のつくしのネタバレレビュー・内容・結末

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前作と打って変わって、原点回帰、繊細かつ美麗な背景と強い少年と弱い大人の女と恋の話。特に雨の表現が素晴らしい!天気雨のシーンの空気感!画面からアルファ波がでてましたよ。暖かい地面に雨が降って、妙に心地よいあの感覚をアニメで表現できるだなんて。…よし、こんだけ誉めりゃいいだろう。以降不満点をブチ挙げます。見たくない方はそっと閉じて下さい。あーー!いつまで恋の話やってんだよ!もういいんだよ恋の話は!愛を描け!それこそ大手スタジオで描けないような肉欲を描け!冒頭は期待したんだよ。母が出て行って、兄も恋人と暮らすらしいじゃない、よっしゃ、女を連れ込む舞台は整った。後は誘うだけじゃ、何をチンタラやっとんじゃ、はよ誘えや。ムムッ、そうかまだ引っ越しが済んどらんか。そうか、…よし、引っ越しが終わったぞ…ムムッ、女の方の家に行ったか、それも又吉。…雨の日に抱き合う二人最高のシュチュエーション、そしてこの後泣き疲れた者同士でマンションに戻り慰めあうのだな…?秦基博の美声?季節が変わり雪?スタッフロール?別々の道を歩むふたり???…終わったー!俺の薄汚れた思惑と真逆の、新海監督らしからぬ清々しい終わり方で終わったー!ヌアー!短けぇー!尺、短か過ぎるよ!これからだろ!何終わってんだよ!ぎゃぼあーー!ハアハア、落ち着こう。冷静になろう。初めから分かっていたはずじゃないか。キャッチコピーでも、『 "愛"よりも昔、"孤悲(こい)"のものがたり。』ってうたっていた…。ソウデスカ。ワタシガマチガッテイタノデスネ。リョウカイイタシマシタ。…じゃあ普通に不満点言います。あの、やたら眩しい光のエフェクト止めてくんないかなあ。ハリウッドでもさあJ・J・エイブラムス作品とか『トランスフォーマー』とかでも使ってて、もうメジャーな手法かもしれないけどさ、正直キャラクターが芝居してる時はうざったく感じる。背景のみの時のとか、印象に残したいシーンに少し入れる程度だったらいいけど。キャラクターにがっつり被っちゃてるのはちょっと気が散ってしまったかなあ。あと、尺の話じゃないですけど、毎回映画の中の時間が何を急いてるの?ってくらい早すぎるし、詰めすぎている。何もない退屈なシーンが欲しいんです。語りのない、キャラと背景の動きもない、静かな長めシーンをひとつずつじゃなくて続けて流して欲しい。ちょっと観客に考える時間を下さいよと。話戻しますけど、恋じゃなくて、男女の愛の物語をがっつりメインに据えてやって欲しいんですよ。今までの、恋する男女の微妙な距離感を美しい背景描写で表現するという方法論で、愛し合う恋人同士の距離感を描いて欲しいんですよ。今作『言の葉の庭』はキャラクターも今までにないくらい魅力的で、それ故に、愛の話が見たいなあと。
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