映画初心者

言の葉の庭の映画初心者のレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
4.4
私にとっての初新海誠映画です。初鑑賞時は14歳でその背景の美しさに驚愕した記憶が今でもあります。初鑑賞時は主人公に寄り添って見ていましたが、先生の年齢に近づいた状態で見るとまた違った味わいがある映画でした。

新海誠と言えば「背景美術の美しさ」。それが最高な状態の作品です。あまりの美しさ、全カットサビのような映像の良さで心がもってかれます。繊細だから良いわけではなく、色が相当に良い。モネの色の影響が強い配色でずっと凄い。もうストーリーとかどうでも良くなる。
(「君の名は。」以降は監督が全てのカットの背景に手を出さなくなった影響で背景レベルが下がっています)

雨の日だけに会う関係性。雨の日は憂鬱な一般的な考えの逆をつくアイデア。新海誠が雨を描くことで雨によるもや、雨音などで幻想性が感じられます。2人のはみ出し者が惹かれ合う姿、1人は靴というマイナーな趣味、1人は居場所がなくなった人間。年齢が離れ、かつ教師と生徒といういけない関係を結び付けていきます。ラストでは階段を舞台装置にして、階段の上から教師が生徒のいる踊り場まで降りて抱く。お互いを同じ立場の人間として受け入れる美しいラストでした。

【総評】
もはや芸術作品。新海誠の最高傑作の1つです。たった2人のミニマルな関係性を短尺で描くことに成功し、全編凄い背景の連続。地味な話をここまで心豊かにできる新海誠は凄いです。それと同時に背景美術に興味が無くなってしまった今の新海誠監督は...寂しいですね。
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