原作ファンというほどでもないが、原作の魅力は正直あまり感じられなかった。
当時の飛行機乗りにとって戦闘機としての零戦がどういうものだったか、小説ではどうしてもダレた中盤の内容が、映画ではほぼ一切描かれていない。
ある意味映画化としては正しい判断かもしれないが、私の中では戦争物フィクションの域を越えられなかった。
特攻隊の描写も中途半端で、これでは結局愛国主義者のテロと同じと言われても否定できないのでは?
また主演の岡田准一は確かに好演だったが、個人的にそもそもの宮部久蔵のイメージとかなり違った。
特に最後のシーンの表情にはかなり違和感。
戦争賛美云々は問題ではなく、戦争映画としてもっと丁寧に登場人物達の思考感覚や葛藤を描いてほしかった。