ビョーキノオタク

永遠の0のビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

永遠の0(2013年製作の映画)
3.0
特攻や死を美徳とする風潮には反吐が出る者の視点です。

劇中の岡田くん演じる零戦パイロット宮部は「自分ひとりの死は戦争には微々たる影響しか与えない。しかし自分が死んだら残された家族に大きな影響が出る」という考えを持っている。

死を美徳とせず、かならず生きて家族の元に帰るという信念を持っていた。


が、彼は優しすぎた。

自分が指導した後輩たちが特攻で死んでいくたびに心をすり減らしていった彼が最後に選んだ決断は、
「一人でも後輩を生きながらえさえ、自分が帰れなくても家族は守る」というものだった。


個人的には「愛するもの全てを守るのはどの時代でも不可能。
ならば最愛の人を守るために他人を犠牲にする覚悟」が人生には必要だと思うのだが、

優しい彼には「後輩の死の上に自分が幸せにのうのうと暮らすことが耐えられない」のだ。


こーゆーのは答えのない問題なので、あとは個人の価値観によって彼の決断の評価が変わってしまうが、
戦争にも行ってない平和な時代しか知らない現代人が特攻を「ヒロイズムに心酔した馬鹿者」だの「愛国心に満ちた讃えるべき精神」だの好き勝手にいう前に、よく考える必要があるなと感じた。