毬子

わたしはロランスの毬子のレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
3.8
『“普通”とはなんだろう…?』
なんだかすごい作品に出会ってしまった。
これは差別的な意味ではなく知らない世界を知った心の衝撃をそのまま言葉にあらわしたもの。

性同一性障害の男性が主人公の話。
恋人との出会い、カミングアウトの苦悩、家族の理解、職場の反応、心と身体の性別が違うとこんなにも生きづらく苦しいものなのか。

自分の心と身体の違いを認め正直に告白したら精神の病気と差別され、物言わぬ冷えた視線に晒される世界はあまりにも無慈悲だ。
しかし味方になって支えるはずの家族の動揺もわかる。ありのままの姿を受け入れ支えていくには時間が必要なんだろう。

観ていると長い巻物をゆっくり紐解いていくような感覚になった。
芸術作品のような美しい映像と音楽、168分と長めの作品だがあまり長さは感じなかった。とにかく一度自分の目で観て感じてほしい。自分が思う“普通”を問うきっかけになるだろう。
毬子

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