kukka

わたしはロランスのkukkaのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
4.2
とてもドラマティックな映画で、168分という上映時間をちっとも長いとは感じなかった。

今では珍しいスタンダードサイズ?の画面に、カメラ目線が多用された寄りのショット、ドキュメンタリー風に撮ったかと思えば、作り込んだMVのようにファンタジーっぽくもなったり。
実験的と思われる撮影方法が空回りせず、絶妙なバランスで調和していて、感嘆してしまった。

横幅が短い画面構成は、開放的ではない分、世界を凝縮して見せる効果があった。カットごとの色彩も本当に美しい!あと音楽の入り方…いや〜かっこよかったなぁ。

再会しては責め合うロランスとフレッドは、「わたしをわかって!」と互いに叫びあっているようだった。好きだから理解したいのに、好きだからこそできない。

こんな切なくてドラマティックで勇敢な脚本を、グザヴィエ・ドランは20代前半で書いたの?と思うと、末恐ろしい。。

一番好きなのは、浴室でロランスが化粧をするのをフレッドが見守るシーン。本来の自分でいられる喜びがロランスの全身からあふれ、その瞬間に立ち会えることに喜びをかみしめるフレッド…。涙が出るほど美しかった。こういうシーンが見たいから、自分は映画を見るんだろうと思う。
kukka

kukka