ボナペティ男

ウォッチメンのボナペティ男のネタバレレビュー・内容・結末

ウォッチメン(2009年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 『ウォッチメン』が公開された頃、「DCコミックのヒーローってなんか陰気臭くね?」と陽気を気取っていたのに、現在は幼児退行が中学生期に達し、闇属性に近いものへの憧憬がふつふつと湧いています。

◆1985年、世界終末時計が0時を迎えるまで5分を切る。アメリカ合衆国とソビエト連邦間の冷戦は緊張状態が続き、核戦争へ発展する恐れすらあった。
 三度の再選を果たしたニクソン大統領は、合衆国民の反自警団感情を汲み取り、キーン条例を発令。覆面着用での自警行為が禁止され、ウォッチメンは解体されたが、ロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)は自身の正義のために活動を続けていた。
 10月、コメディアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)が殺害される。ロールシャッハはそこに陰謀めいた何かを感じ取り、捜査を始めていく。

 ヒーロー作品なのに、アクションがオマケ。サスペンス・ドラマとしてとっても面白い。言うまでもなく、アクションも非常によく作られていて、迫力が十分にある。"魅せるアクションを見せる"というより、"アクション・シーンで魅せる"感じが本当に上手い。ザック・スナイダーが関わってる作品って本当に映像に対する熱意を感じるし、アクションに意味を持たせることが上手やと思います。役者さんが向いてる向いてない関係なく格好よくできてる。

 正義のあり方が本当に面白い。
 ロールシャッハの思う、悪行は悪行であり、悪党は押し並べて裁かれるべきという盲目的な信条が故の正義。クライム・ファイターとしてキャラクター性の確立が何よりも格好よくされている。自身の正義が、世界に訪れた平和を再び崩してしまうジレンマに揺れた最期は衝撃的にクールで、熱量が溢れていて涙が出そうになった。
 コメディアンにとっても正義が重要な要素で、自身の欲求を満たすために大義名分として必要だったり。混沌とした世のメタファー的な意味合いを込めてコメディアンと名乗るとか。
 甚大な犠牲を払ってでも、より大きな平和を得ようとする超現実的正義のオジマンディアス。誰もが救われるような平和を夢見る超理想的正義のナイトオウル。生じた結果を受け入れる合理的正義のマンハッタン。シルク・スペクターはなんかわからん。かまってくれる男に抱かれたい性技? 不適切な表現があったことをお詫び申し上げます。

 ただただロールシャッハが格好いいよなぁとなってしまう。
 明日から布被って生活します。
ボナペティ男

ボナペティ男