えんさん

ピッチ・パーフェクトのえんさんのレビュー・感想・評価

ピッチ・パーフェクト(2012年製作の映画)
2.0
日本でも一時期(2000年?)人気になったアカペラコーラス。本作は、音楽好きな一人の女子高生が大学に入学とともに、少し落ち目のアカペラ部に入部していくお話となっています。主演は、ミュージカル映画「イントゥ・ザ・ウッズ」でも美声を披露し、ハリウッドでも人気急上昇中の女優アナ・ケンドリック。監督は、TV界で活躍の場をつくってきたきたジェイソン・ムーアが手掛けています。

2012年公開のミュージカル映画「レ・ミゼラブル」のヒットにも分かるように、日本にもミュージカル映画を楽しむ層というのが一定の割合でいます(昨年の「アナ雪」もミュージカルアニメですけど、ヒットの仕方は少し特殊)。という僕も、「ヘアスプレー」や「雨に唄えば」などのミュージカル作品も大好き。でも、結構好き嫌いもはっきりしていて、「シカゴ」や「NINE」のロブ・マーシャル監督とは相性が悪いし、「イントゥ・ザ・ウッズ」や「レ・ミゼラブル」のような全編が歌というのも少し飽き飽きしてきます(ミュージカル好きな人、スイマセン)。それでも音楽は好きなので、「セッション」や昨年の「ジャージー・ボーイズ」のような、劇映画なんだけど、音楽が超絶モノという作品のほうがむしろしっくりくるように思います。

という意味で、僕が本作に求めたのは、あくまで音楽という要素を中心とした作品作り。もちろん、コーラスの部分は最高だし、最後のコンテスト部分もすごい盛り上がりに興奮してきます。ただ、その他の劇映画としての部分がいささかお粗末すぎるかと思います。主軸となるのは、アナ・ケンドリック演じる主人公ベッカが、大学でのキャンパスライフを歌と共に送っていくというお話。でも、基本の組み立てが結構お下劣度も高いキャンパス・コメディに仕立てられていて、それにアナの美しさというのがいびつな形で際立ってくるのです。サブ・キャラクターとなる他の学生たちは、個性は強くていいのですが、お下劣度に走りすぎると、肝心の美しいコーラスもうまく引き立たない。「ハイスクール・ミュージカル」や、日本でもヒットした「Glee/グリー」のような上手い形のキャンパスドラマに、なぜならないのか不思議で仕方ありません。

それに本作、実はアメリカでの公開は2012年。続編となる「ピッチ・パーフェクト2」と併せた日本での興業のために、第一作が今年緊急公開されたという感じになっています。続編は2015年秋公開。今度は世界コンクール、、、だそうですけど、この内容だと見るかどうかは正直微妙です。