ひろくん

野獣死すべしのひろくんのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
4.7
単純に「ヤバイ」。特に、萩原朔太郎の詩(好き)が破壊の旋律として印象的に挿入されていて震えてしまった。
優作の一人舞台だが、付き合わされたという感じはなく、その狂気を濃密に堪能した2時間だった。
世界の見方を変えられるか問題は、現代人として、狭い半径の中で生きている自覚はあれど、彼のように、いくら半径を広げても世界の楽しみ方を誤って視野狭窄に陥るぐらいなら半径5メートルに隈無く目を配るような保守的な生活をしていきたいと思った。ただ、殺しを覚えたら世界の見え方は確実に変わるんだろうな~。確かに俺も、捕まえた蝶が手の中で死んでいたとき、あのときから少し世界が濁ったような気がする。
狂気の臨界点を引き上げられたという意味では後戻りはできない、俺も一人のリップ・ヴァン・ウィンクル。
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