『身長が高いと言うなら、足を5センチ削ってもいい。』
80年代の角川映画、大好きです。
新作映画ばかり観てると、時おり昭和の映画観たくなって、今回は『野獣死すべし』をチョイス。
前に観たのが、いつ頃か覚えてないけれど、松田優作が小林麻美とレコード店で出会うシーンから徐々に思い出した。
この映画にかける松田優作の狂気、みたいなものを知ったのは初見よりずいぶん後のことだと思う。
いや、エピソードは知ってた。
曰く、役作りのために三ヶ月消息不明になり10キロ以上痩せてきた。
曰く、その際頬をよりこけさせるために奥歯四本抜いた。
曰く、役のイメージより自分の身長が高すぎるならば、足を5センチ削ってもいいといった。。。
有名なエピソードだけど、この映画のためにと言うのを知ったのはずいぶん後のことだった。
そんな役者、他にいます?
映画は原作(未読です。。。)無視らしい。役名以外はほとんど変えられたという。作品の初号試写を観たプロデューサーの角川春樹が激怒したとか。もちろん原作の大薮先生も。
そりゃ、激怒するよな。
それでも映画は中盤までは怪しいバランスながら緊迫感のある出来。揺らいではいるけど、ぐいぐい引き込まれる。
ところが、終盤に向けての展開がもうワケわからない。なんかアングラ演劇みたいな。
ラストシーンは邦画史上に残る難解な終わり方と言われていて、あれはどうとらえれば良いのか。。。
突然、画素が荒くなるラストシーンを見つめながら、全国公開の大作映画でこういう作品を自分主導で撮らせる役者ってもう出ないだろうな、と思った。