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野獣死すべしのkonoesakutaのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
2.5
「君は今確実に、神さえも超越するほどに美しい。」

 あのような役を演じるのにはたして松田優作が必要だったのか。あるいは松田優作はあのような役作りをする必要があったのか。主人公像をめぐって主演と監督が言い争いするのも納得できる。まるでディアハンターのクリストファーウォーケンのように戦場で心を病んでしまった人間を演ずるべきなのか。それともハードボイルドに酔ったタフな人間の破滅への過程を描くべきなのか。悩ましい。

 できれば監督のイメージで作品を完成させるほうがよかったのではと個人的には思う。監督に歯向かう松田優作のキャラもいいのだが。

ラストにいたる過程ではおもしろいシーンはいくつもあった。しかし結末が難解で正直観ていた自分の心をどこに落ち着けたらよいのかわからなくなった。

 戦場の地獄を多く見てきた主人公伊達は頭脳明晰で射撃もうまい。拳銃を奪い事件を起こす。計画的な犯行を繰り返しながら野獣を目指すように伊達は行動し続ける…。