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野獣死すべしのlagのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
4.4
必要な分しか喋らずひっそりと歩く。痩せこけた高身長で隈のできた目を見開いたまま。ピアノと管弦楽。眺めながら萩原朔太郎の詩を読む。脅しもせず無言でいきなり撃つ。たった一度否定する。狂ったようにシャッターを切る。

冤罪もかけて銀行を入念に下見。家具の間隔の広い部屋で小さく蹲り大音量のスピーカーに耳を擦る。殺意のフラメンコ。雷雨の森の中でシャベル持って待ってる。東北へ向かう夜行列車。唯一のエクスタシー。窓に写るにじり寄る銃口。ぼろ切れのように殺された兵士や住民。君は今確実に美しい。なんて素晴らしい。寝ますか。お話ひとつしてあげますよ。面白かったでしょう。ぼくも疲れちゃった。ただひと言お前死ね。取り残されて空っぽになった劇場を出る。
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