このレビューはネタバレを含みます
【備忘録】
「あなたは、死にたくなるほど、人を愛したことがあるんですか」
自分はこれから生き続けたとして、今よりも愛に満ち、幸せな状態で最期を迎えることができるんだろうか。冬香の行き着いた、この悦びの永久保存方法は、死。
「私のことが本当に好きなら、殺して」至上の幸福を確信したからこそ、冬香は死を乞うたのだろう。
「冬香は、私を誰にも渡したくない、そう思って殺させた」と供述する菊治。この人になら、永遠に縛られてもいい。そんな覚悟の末の、「選ばれし殺人者」になるという決断。
終わりある愛の永遠を求めた二人が行き着いた場所、愛の流刑地。この不倫の泥沼の中に、清々しい純愛を感じるのは私だけだろうか。
この映画を見た当時は、「激しいな」と思っただけだったけど、頭の片隅になんだか残っていて。一年越しだろうか。ああ、これが鶴橋監督が描く、究極の愛の形か…腑に落ちた瞬間、なんだか心が温かくなった。(すごい時差)