ぼのぼの

親密さのぼのぼののレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.5
2021/09/19
shortバージョンを鑑賞
shortでは、2部の演劇のみ
ここは大好きで大好きで仕方ないのでもう一度見れて幸せだった。


2021/05/02
「濱口竜介、アイドルかよ」4月30日0:00、ポレポレ東中野のサイトを更新しまくり、無事チケットをゲット。1分で全席売切。いや、アイドルかよ。

「屁理屈並べているだけで、イライラする映画だった」
この人は、今まで世の中に疑問を持たずに生きてきたんだろうな、「なんだか生きづらいなぁ」とか思ったこと無いんだろうなと冷めた心で感想を聞いていた。この映画を持ってしても、人と親密になるためには、途方もない根気と時間が必要だと気付かなかったのか。その屁理屈が親密さに繋がってるんだよ!!!バッキャロ〜!

レビューを書くのに、結構時間がかかった。ほかの映画は、つまんない、面白いねとかふざけまくったレビューばかり書いているが、それは映画だから。(少々映画という芸術をバカにしているのかもしれない。そもそも映画は芸術なのか?)


255分、言葉を永遠に浴びせられた。
低予算・短期間撮影で、正直に言うと映像はガタガタ、音声は聞き取りづらい。何言ってるんだ...濱口の映画はすべてのセリフを一つ残らず聞き取りたいんだよ!!!と最初はイライラしながら見ていたが、これは聞くまでも無いとるに足らないセリフということにしよう...と妥協した。

1部は、舞台「親密さ」ができるまでのお話。本当に無駄だらけ。無駄の詰め合わせ。無駄無駄無駄!!!無駄すぎて寝た。

でもこの無駄が1部と2部のラストシーンに繋がる。そもそもこれを無駄と感じてしまうような人間(自分を含め)は、人と親密になりたいとか思ったことがないのかもしれない。人との親密さを築くには、この1部のように、バカみたいな無駄を踏まなくちゃならないから。人間と心が通じ合うような関係になりたいって思わないから、「無駄」と思って面倒がってるのかもね。

私が映画じゃなくてドラマが好きな理由は、人間における関係性は2時間弱で語りきれないから。2時間弱で語る方が間違ってる。2時間弱で語っちゃうから、人と仲良くなるのは簡単だ、人のことわかるとか勘違いするんだよ。てか人のことが“わかる”って絶対ならないし。ずっと一緒にいたってわからないことだらけだよ。

4時間だけど、濱口はちゃんと親密さについて理解して、映像と言葉で説明してくれた。一番分かりやすかったのは、1部最後の長回し。映像がきまりすぎてて笑っちゃったよ。あんな映像よく撮れた。

夜の時点で、喧嘩したことで心理的距離は広がっていて、2人の間には物理的距離もある。それが夜が明けていくことに、心理的・物理的距離がなくなっていく。手を繋いでたのがよかったね。夜は暗くてよく見えなかったけど(2人も、お互い心理的に見えてなかったっていうのもある?)、明るくなってくると手を繋いでて、え〜濱口やるじゃん?と惚れた①

2部は、「親密さ」本編
これは最初から最後まで見るしかなかった。演劇はセリフが主役だから、言葉が尊重されていないと、演劇としては破綻。
映画でもあるが、舞台でもあるから、観客は無意識に「これはフィクションだ」と思う。だから文語調の浮いたセリフでも、ある程度は受け入れることができる。

その中の「暴力と選択」という詩が好きだった。はっきりとした内容は覚えていないが、暴力とは選択させない、選択肢を与えないということ。身体的暴力は見てわかるが、なんでもかんでも”ハラスメント“と言われるこの時代、何をもって暴力というのか曖昧になってきた。心理的暴力についての説明は、この詩によって説明できるんじゃないだろうか。

もう一つ、ラブレターを読むところ。本当に涙が止まらなかった。マスクびちゃびちゃ。泣く映画なら事前にそう言ってほしい。あんなどストレートで、自己中心的で、無茶苦茶なこと言っていたのに、一生大切にしたいラブレターだった。

この激長映画(ハッピーアワーよりはマシ)は、2部のラストシーンのためだけの4時間だったのか?!?!と思うほどラストシーンがもう...それはそれは素晴らしすぎるんですよ...なんなのあれ反則じゃん。並走する電車で、追いかけながら手を振り、投げキッスをしあう二人。惚れた②

親密さっていうのは、言葉を尽くして衝突して、時間と労力をかけて得るもので、でも失うのは一瞬で...なんか信頼とちょっと似てますね。

戦争と演劇のつながりが分からなかった。「暴力と選択」に少しは関係してるのかもしれないが、それにしても少々爪が甘い。北朝鮮やら話題を出したが、出すんだったらちゃんと後始末しないとダメでしょ?リョウちゃんが出兵したからいいと思ってるの?それで回収したと思ってるんだったら大間違い。そんなもんないほうがいい(大激怒)

レビュー疲れた。たぶんまだ書きたいことはあるかもしれないけど、この辺で。一番驚いたのは、若者が結構いたこと。友達になりたかったよ。

それと『親密さ』は東京で、『ハッピーアワー』は神戸で見るほうがいいな。その土地の風景が出てくると、映画との親密さも出てくる気がする。